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過去のイベントレポート

現在7件の情報があります。

2017年5月26日(金)介護職外国人採用支援フェア〜株式会社メディパスの取締役・事業本部長小田弘氏にフェアについてお話を伺いました〜

5月26日(金)都内で介護職外国人採用支援フェアが開催された(主催:株式会社高齢者住宅新聞 共催:株式会社メディパス)。8ヵ国の送り出し機関(計19機関)がブースを出展し、自由に相談ができる会場のほか、「技能実習制度の仕組と注意点」「外国人介護スタッフの受け入れ成功の秘訣」などのセミナー開催や各国の送り出し機関のプレゼンテーションが行われた。共催社であり、セミナー講師の株式会社メディパスの取締役・事業本部長 小田弘氏にフェアについてお話を伺いました。

小田 弘氏のお話をまとめたPDFはこちらから

2017年4月『財政再建の道のりに秘策なし 歳出減・税収増の王道あるのみ』国立大学法人一橋大学 国際・公共政策大学院 経済学研究科 佐藤主光氏

我が国の財政は政府債務残高1200兆円を超え、GDP対比230%以上となり、世界的にも最悪の財政状況となっている。そのような中、超少子高齢社会に伴う高齢化の進展による社会保障給付費の爆発的な増加の一方で、今後給付を支える生産人口の急激な減少で、社会保障制度の持続可能性が問われている。これに対し、政府は2020年までのプライマリーバランス黒字化目標を目指し、2015・2016骨太方針に基づいて、社会保障費抑制を本丸とした、経済財政の一体改革を進めている。そこで今回は、国立大学法人一橋大学 国際・公共政策大学院 経済学研究科 教授の佐藤主光氏に、我が国の財政や社会保障制度改革のあり方などについて話を聞いた。

国立大学法人一橋大学 国際・公共政策大学院 経済学研究科 佐藤主光氏のお話をまとめたPDFはこちらから

2017年3月20日(月) 東京大学名誉教授 上野千鶴子氏ご講演

ベストセラーとなった「おひとりさまの老後」の著者で東京大学名誉教授 上野千鶴子さん(家族社会学、女性学)が、2017年3月20日、前日本訪問看護協会事務局長・宮崎和加子氏により設立された一般社団法人だんだん会(山梨県北杜市)主催の祝賀会で「大好きな北杜で最期まで」と題して講演した。

東京大学名誉教授 上野千鶴子氏 講演のPDFはこちらから

2016年8月22日(月) カマチグループ「医療連携会」開催

カマチグループが新規開院した回復期リハビリテーション病院などの事業概況説明会「医療連携会」が8月22日、都内のホテルで開かれた。

写真入り記事はこちらからダウンロード

2016年5月29日(日)  地方創生と地域包括ケアシンポジウム

「21世紀型のコミュニティ再生と2025年に向けたあるべき医療・介護・福祉経営」
〜地方創生や一億総活躍社会の実現に貢献する地域包括ケアシステム構築とま”まちづくり”の取り組み〜


地域包括ケア時代の事業経営に不可欠なのは“まちづくり”の視点

まち全体の将来を視野に事業経営を考える
 地域包括ケアシステムの実現に向けた動きが本格化する中で、医療・介護・福祉サービスの提供体制はどうなっていくのか。我々事業者に問われていることを一言でいうならば、自分たちのまちをどうしていくのか、また、その中で自分たちがどのような役割を果たしていくのか、自ら考え行動していく“主体性”に尽きるのかもしれない。
 これまではどちらかというと、急増する高齢者への対応がクローズアップされてきた。これに対して今、活発化しているのは、少子高齢化および人口減少にどう対応していくのか、という議論である。生産年齢人口が減少すれば当然、税収は減り、社会保障費は抑制せざるを得なくなる。同時に医療・介護サービスの担い手の確保も困難を極めることは間違いない。つまり地域包括ケアシステムが掲げる「住み慣れたまちで最期まで」を実現するためには、人口減少、少子高齢化に正面から向き合わざるを得ないのであり、まち全体の人口動態なども視野に入れた事業経営が、求められてくるのである。
 一方で、我が国の少子高齢化の実情は、地域によって相当な違いがある。大都市圏のようにこれから一気に高齢者が増える地域もあれば、すでに高齢者人口が頭打ちになっている地域もある。自治体への権限移譲が進められているが、これは均質的なサービスを全国に行き渡らせるやり方では対応できなくなっているからであり、各地域の実情に合った仕組みをそれぞれの自治体が主体的に構築していくことが、早急に求められている。
事業者にとって大切なのは、この流れの中で、自らの立ち位置をいかに獲得していくか。自らが事業を運営している地域の“まちづくり”の担い手になることを、本気で考えていく時代に突入したといえる。

「生涯活躍のまち」構想と地域包括ケアシステム
本特集で紹介するセミナーは、まさに“まちづくり”あるいは“コミュニティ再生”といったことをキーワードに地域包括ケアシステムを捉え、その中で医療・介護・福祉経営はどうあるべきかをテーマにしたものである。
政府は一昨年から「地方創生」を掲げ、その一翼を担う施策の一つとして「生涯活躍のまち(日本版CCRC)」構想を打ち出している。この構想が、地域包括ケアシステムが目指すものと大きく重なり合っていることに着目したい。
『「生涯活躍のまち」構想(最終報告)』によれば、生涯活躍のまち構想とは、「東京圏をはじめとする地域の高齢者が、希望に応じ地方や“まちなか”に移り住み、地域住民や多世代と交流しながら健康でアクティブな生活を送り、必要に応じて医療・介護を受けることができるような地域づくりを目指すもの」と記されている。また、その意義については、々睥霄圓隆望の実現、地方へのひとの流れの推進、E豕圏の高齢化問題への対応、という3つの点が挙げられている。
 この構想と従来の高齢者施設との大きな違いは、要介護状態になってからではなく、健康な段階からの入居が想定されていること。高齢者は、社会活動に積極的に参加する「主体的な存在」として位置付けられ、地域社会の中で多世代と交流できるようなオープン型の居住が基本となっている。単に高齢者のための福祉施設を整備するという発想を越えた、“まちづくり”そのものであり、中でも「医療・介護が必要になった時には地域で安心して継続的なケアが受けられることを目指す」という点で、地域包括ケアの目指す方向性と一致している。
 セミナーでは、このようなまちづくりの先進的な事例を紹介している。最前線を行く講師陣のレクチャーに加え、シンポジウムにおける活発なディスカッションの模様も掲載した。我が町、我が事業所のこれからを考える一助して頂きたい。

“まちづくり”にまで踏み込んだ 根本的な対策が地域包括ケアのカギに

“まちづくり”にまで踏み込んだ
根本的な対策が地域包括ケアのカギに


地域包括ケア研究会座長
介護給付費分科会会長
慶応義塾大学 名誉教授
田中 滋 氏


2025年に向けて構築が急がれている地域包括ケアシステム。「それは単なる高齢者政策ではなく、まちづくりそのもの」と話すのは、地域包括ケア研究会座長の田中滋氏だ。その実現に向けて今、地域に何が求められているのか、田中氏は地域包括ケアシステムのコンセプトを解説した。

わが町に起きる危機を
クールに想定できているか

 田中氏がまず示したのは、わが国が今、どのような事態に直面しているか、ということ。1950年から2015年までの65年間の高齢者人口の推移をみていくと、65歳以上人口は約8倍、75歳以上人口は約15倍、80歳以上人口に至っては約28倍に増えており、しかも近年は伸び方が加速している。要介護者の数も、介護保険制度が発足した2000年当時は200万人だったものが、今では500万人に倍増。この状況にどう対応していくのか、日本は今、必死に模索している。
しかしながら、「本当に危機はこの先にある」と田中氏。2022〜24年の3年間で後期高齢者の数は一気に800万人も増え、2025年には2179万人に到達。一方で、2022年からは被保険者数の減少が始まり、2034年にはついに1号保険者の数が2号保険者の数を上回る見込みだ。加えて、地方の保険財政は現状、その地域だけで賄うことができず、大都市部で集められた保険料を地方に分配することで成り立っている。「制度設計上、これはたいへん怖い状況」と氏は危機感をあらわにする。
重要なのは、このとてつもない危機が決して他人事ではなく、全ての日本人が今、暮らしている“わが町”に起きる話だということ。田中氏は、「この怖さを感じながら自分たちの地域の将来像をクールに想定できているかどうか。小手先の対応ではとても追いつかず、“まちづくり”にまで踏み込んだ根本的な対策が、どうしても必要になる。そこで問われるのが地域包括ケアだ」と説明した。

病院勤務の看護師もリハも
全ては地域のために

 重要なのは、在宅か施設か、という対比概念からの脱却だ。地域包括ケアシステムのキーコンセプトは、「おおむね在宅、ときどき施設(入院)、いつでも交流」、すなわち施設と在宅の循環的利用により、在宅を無理なく継続できるようにしていく、というものである。医療機関や介護事業所はあくまで在宅生活の支えであり、その機能も、そこにいる人員も全てが“地域のため”にある。例えば今、不足している訪問看護も、病棟の看護師が業務の一貫として訪問看護に出る、という方向に切り替えていけば、対応力は大きく広がるだろう。
 また、地域包括ケアシステムは生活圏域の実情に合わせて構築していく必要があるが、そのカギとなるのが地域マネジメントだ。これからの自治体には、システムの企画力、そして地域の資源をネットワーキングするマネジメント能力が強く求められると、氏は強調する。
そして何よりも今、地域包括ケアシステムの構築が急がれる本当の理由は、2025年の先にあると田中氏。団塊ジュニア世代が後期高齢者になる2045年までにどうしてもやらなければならないのは少子化からの脱却であり、その対策を行っていくときに果たして地域包括ケアシステムがうまく機能するかどうかが問われるからだ。「つまり地域包括ケアシステムは、今いる高齢者のためだけではなく、次なる局面を乗り越えるために必須のシステムなのであり、だからこそ2025年までに必ず仕上げておかなければならない」と、氏は改めて示唆した。

元気な高齢者の移住で雇用を創出 多世代が共生する「日本版CCRC」

元気な高齢者の移住で雇用を創出 多世代が共生する「日本版CCRC」

地方創生の鍵として注目を集める日本版CCRC構想。その本質を理解するために重要なのは、「介護で儲けるのではなく、介護にさせないことで儲ける」という逆転の発想だ。本セミナーでは、CCRC研究の第一人者、三菱総合研究所の松田智生氏が登壇し、その意義と可能性について語った。

三菱総合研究所 プラチナ社会研究センター
主席研究員チーフプロデューサー
松田 智生氏


予防医療の産業化により
税収を上げ、医療費を抑制

 日本の高齢化率は26%と世界でも群を抜いて高く、1950年には60歳だった平均寿命は、今や80歳を超えている。この急速な高齢化に伴い一気に膨らんだのが医療費と介護費で、その額は今や50兆円と、国の税収55兆円の9割を超えている状況だ。これは日本にとって大変なピンチだが、「見方を変えるとそこに大きなチャンスがある」と氏は言う。日本ほど元気な高齢者に溢れた国はなく、日本版CCRC構想とは、“アクティブ・シニア”に着目したまちづくり構想である。
そもそもCCRC(Continuing Care Retirement Community)とは、健康時から介護時まで継続的なケアを提供するという、米国で広まった高齢者施設のコンセプト。日本では、米国とは異なる社会特性に合わせた日本版CCRCが、「生涯活躍のまち」として国の施策に組み込まれ、全国で進められようとしている。その特徴は、米国のCCRCが施設を中心としたものであるのに対し、日本版はまち全体を視野に入れている、ということ。高齢者に元気なうちに住替え、予防医療や健康支援を産業化して税収を上げる。一方では、介護予防による医療費・介護費の抑制を図る、というものだ。
 しかしながらこの日本版CCRC構想は、誤解や先入観も多く正しく理解することが大切だと松田氏は強調する。まず地方移住ありきでなく、都市・郊外と多様な立地が対象だ。アクティブ・シニアを呼び込むことは、地域の高齢化が進むと思われがちだが、雇用が生まれれば若年層の転出を抑制し、働き世代の流入につながる。結果的に高齢化と人口減少を止めるのだ。そして介護で儲けるのではなく、介護にさせないことで儲ける、という逆転の発想だ。介護保険に依存した収益モデルは、国の限られた税収を考えれば厳しい。そこで予防や健康支援を中心としたモデルへの転換が、事業者の経営を安定させる。日本版CCRCとは、多世代が共生する “まちまるごとCCRC”であり、国が目指す地域包括ケアシステムそのものであり、市民・自治体・産業の三方一両得のモデルである。

ユーザー視点で魅力的な
住み替えのモデルを

 地方再生法の改正で「生涯活躍のまち形成事業」が導入され、財政面でも地方創生交付金が設けられるなど、国は日本版CCRCを進める自治体を積極的に後押ししている。しかしながら、「それだけでは十分ではない」と松田氏。現状では介護度が改善された場合、介護保険ベースでの事業者の収益は下がってしまう。逆転の発想でもし介護度が改善された場合には、事業者に奨励金支給や減税制度を設けるなど、「介護インセンティブ」から「健康インセンティブ」に転換する制度設計が必要だと、氏は指摘する。
 現在、全国の自治体の1割を超える約260の自治体が、日本版CCRCの推進意向を示している。これからはアクティブ・シニアの誘致合戦になるが、温泉とゴルフ場と病院はどこでもある。数あるライバルのなかでなぜわが町が選ばれるかが重要になる。「それは事業者視点でなくユーザー視点のストーリー性だ。シニアが年賀状に書いて自慢したくなるようなCCRCができるかが成功のポイントだ」と、氏は呼びかけた。

“ごちゃまぜ”が活力を生む! Share金沢の魅力と新たな事業展開

“ごちゃまぜ”が活力を生む! Share金沢の魅力と新たな事業展開

日本版CCRCの政府認定モデルとして注目されている「Share金沢」。高齢者、障害者、学生と、全ての住民が主体的にまちづくりに取り組む「生涯活躍のまち」はどのようにして創られたのか。社会福祉法人佛子園の雄谷良成氏が登壇し、地域コミュニティを創造する独自の取り組みを紹介した。

社会福祉法人佛子園 理事長
全国生涯活躍のまち推進協議会 会長
雄谷 良成氏


住民の声を受け、廃寺を復興
人々の交流の拠点に

1960年の創業以来、石川県白山市を拠点に福祉事業を展開してきた社会福祉法人佛子園。現在は約70もの事業を行っており、さまざまな地域コミュニティのモデルを創り出してきた。その一つが、Share金沢だ。
社会福祉法人がなぜ“まちづくり”なのか。それはグループホーム開設への近隣からの反対運動がきっかけとなっている。「このまちで半世紀も事業を行っていながら、地元の理解が得られない。自分たちは何をしてきたのかを改めて振り返ると、施設のことばかり考え、地域に対しては何もしてこなかったことに気が付いた」と雄谷氏。その反省から、佛子園はまちおこし事業を開始。そして2008年に立ち上げたのが、後のShare金沢の原型となった「三草二木 西圓寺」である。
西圓寺は、廃寺の復興を望む住民の声を受け、地域コミュニティセンターとして蘇らせたもの。まずは福祉の拠点として、高齢者の通所介護、および障害者の生活介護と就労支援を実施。さらに温泉やカフェを併設し、気軽に集える“憩いの場”として住民に開放した。
最大の収穫は、“ごちゃまぜ”の効果だ。象徴的なのは、認知症の女性が重度心身障害の子どもに、進んで食事介助を始めたこと。両者のふれあいにより、子どもは食事が食べられるようになり、認知症の女性も徘徊がなくなるなど、状態が安定していった。多様な人が一緒にいることで生まれる力の大きさを目の当たりにした雄谷氏は、「これまでの縦割りの福祉が、いろいろな可能性を阻害していたのではないか」と強く感じたという。
さらには住民たちも「寺を自分たちの手で守ろう」と、温泉の掃除などボランティアに参加。こうして人々の交流が活発になり、それがまちの魅力となって移住者も増え、世帯数は55世帯から71世帯に増加したという。

日本版CCRCの鍵は
交流人口をいかに増やすか

この西圓寺は、施設を拠点にした、いわば「施設型CCRC」。一方で、2014年開設のShare金沢は、これを地区レベルに拡大させた、「エリア型CCRC」である。
高齢者、障害者、学生の居住施設を設け、その周辺には天然温泉やライブハウスなどの商業区画を設置。周辺住民も気軽に利用できるようにした。高齢者の半数は県外からの移住者で、まちづくりの担い手として活躍。学生は月30時間のボランティアが入居条件となっており、家賃は相場の半額。「お金を介在させないことで、お互いの関係性が深まり、そこから“街に貢献していこう”という大きなエネルギーが生まれる。ごちゃまぜのコミュニティが生み出す活力が、まち全体を元気にしている。」
このShare金沢のさらなる発展形として、新たなCCRC構想「B’sプロジェクト」が2015年より動き出している。これは市町村レベルで行う「タウン型CCRC」で、住民自治の拠点として、これから本格稼働していく計画だ。
以上の経験から得たまちづくりのポイントは、交流人口をいかに増やすか、ということ。氏は「従来の病院や施設には、元気な人を集める仕組みがなかった。これからは地域に開かれた施設運営を行い、多世代交流の場をいかに創り出していくかがカギになる」と改めて強調した。

シンポジウム

“まちづくり”は現場の実践から
事業所の創意工夫が地域を動かす



シンポジウム「21世紀型のコミュニティ再生と、2025年に向けたあるべき医療・介護・福祉経営」では、地域包括ケアの実現に向けて独自の取り組みを行ってきた4名のシンポジストが登壇。先進モデルである和光市をはじめ、さまざまな先駆的事例が紹介され、田中滋氏を座長に活発なディスカッションが展開された。


【座長】地域包括ケア研究会座長
介護給付費分科会会長
慶応義塾大学名誉教授
田中 滋氏

【シンポジスト】
和光市 保健福祉部長 東内 京一氏
公益社団法人日本医師会 常任理事・医療法人博仁会 理事長 鈴木 邦彦氏
つしま医療法人グループ 代表
一億総活躍国民会議 民間議員 対馬 徳昭氏
社会福祉法人佛子園 理事長 全国生涯活躍のまち推進協議会 会長 雄谷 良成氏


高齢者へのニーズ調査で
課題を詳細に把握

 地域包括ケアシステムのモデル都市として注目を集める和光市。同市保健福祉部長の東内京一氏は、和光市が築き上げてきた独自のシステムと今後の展開について語った。
 和光市は、これから日本一の高齢化の進展が見込まれる地域である。高齢化率は17.4%と低いが、これは若年人口の流入の影響によるもので、高齢者人口は相当な伸びを示している。中でも団塊世代が人口のピークを形成しており、今後、高齢者数のさらなる急増は必至だ。このような状況にあって、「今、介護予防をやらなかったらこの先どうなってしまうのか」という強い危機感が、和光市の取り組みの原点となっている。
次に示したのは、全国の要介護度別の認定者数だ。平成25年度では、要支援1〜要介護1の軽度者が、要介護認定全体の46.7%を占めている。氏が問題視するのは、この多くの軽度者がそのまま重度へとスライドした場合、途端に介護保険が立ち行かなくなってしまうこと。しかしながら、この層で圧倒的に多いのは生活不活発病と言われる廃用症候群。すなわち、改善が見込める人が多くを占めており、重症化予防によって事態を改善できる可能性は十分にあるのである。
和光市がまず行ったのは、どの圏域に、どのようなニーズを持った高齢者が、どのくらいいるのかを正確に把握するための「日常生活圏域ニーズ調査」だ。個別記名式で実施し、未回収のところは全戸訪問。このきめ細かい調査によって、介護のみならず医療、住まい、生活支援、福祉権利擁護などさまざまな課題を抽出した。その解決策として、医療や住まいとの連携も視野にいれた計画策定をマクロな視点で行い、それを実際のケアマネジメントにつなげていく、ということを和光市では10年以上にわたり続けてきた。

大切なのは、わが町の方針を
市民に具体的に示すこと

一方で重要なのが、市民に対して“わが町の方針”をしっかりと明言すること。和光市では、基本計画の中で“在宅重視”“予防重視”という方針を明確に提示し、市民に呼び掛けてきた。「大切なのは、市民に対して安心・安全をどう届けるか。特養並みの医療と介護が住まいにあるということを示せなければ、市民の施設志向、病院志向からの脱却は難しい。同時に、重度者も軽度者も地域で予防ができることをアピールすることも重要」と氏は話す。
一連の取り組みの成果がよく表れているのが、和光市における要介護度の構成比だ。平成26年度のデータでは、要介護認定者全体に占める要支援1〜要介護1の割合は38.1%と、全国より大幅に少なくなっているが、これは多くの軽度者から自立へと移行しているためである。また、要介護2や3から要介護1への移行も多く、さらには要介護4と5も減少している。軽度および中度への自立支援型のケアが、重症化を遅らせることができることを、この結果がはっきりと示している。現在、和光市の平均寿命は県内トップクラスだが、一方で要介護認定率は県内でも低い水準を維持している。
次なる展開として和光市で進められているのが、高齢者、子ども、障害者、生活困窮者への各種ケアマネジメントを中央で一元化していくこと。現在、それぞれの問題に対応するセンターが個別に設けられているが、これを平成30年には全てを統合する計画だ。氏は、「ライフステージ全般の相談を受けられる、ゼネラルな仕組みを構築していきたい」と展望を述べた。

在宅サービスの拠点を築き
ワンストップサービスを可能に

 地方創生のために、地域の中小病院に何が求められるのか。日本医師会常任理事の鈴木邦彦氏は、自らが理事長を務める志村フロイデグループの取り組みを紹介した。
 常陸大宮市は5つの町村が合併してできた自治体で、市の中心部の高齢化率は全国平均程度だが、北部の地域では35%を越えるなど、同じ市内でも実情は大きく異なっている。志村フロイデグループは、その広範なエリアの各所に事業所を設け、保健・医療・福祉の総合的なサービスを展開してきた。
 大きな特徴は、地域リハビリテーションの理念に基づいたサービスにある。リハビリテーション科では現在、100名を超えるセラピストが活躍。入院、外来、訪問リハに加え、リハ強化型デイサービスも開設しており、デイケアと同等の効果を出している。
 もう一つの特徴は、独自の在宅支援体制を構築していること。在宅サービスの拠点として「志村フロイデ地域包括ケアセンター」を開設しており、訪問看護、訪問リハビリ、訪問介護、訪問入浴、配食までさまざまなサービスが、ここを拠点に連携。在宅での幅広いニーズに対応できる爛錺鵐好肇奪廛機璽咼広瓩鮃圓辰討い襦
 また、昨年4月には、病院の建て替えを機に電子カルテを導入。患者の診療記録や検査結果、薬の処方内容などの情報を介護を含む多職種で共有できる仕組みを構築した。ほかにも、建て替え時の仮病棟を活用して、デイサービスと小規模多機能を展開する「フロイデ総合在宅サポートセンター」、元気な高齢者のための「アクティビティセンター」、さらには子どもも遊べる「リハビリ公園」などを整備。元気な人も病気を持つ人も、あるいは子どもからお年寄りまで、全ての人が集まる地域の拠点を築いている。

全世代・全対象型の
地域包括ケアを推進

 続いて 氏が紹介したのは、独自の地域活性化プロジェクトだ。志村フロイデグループの有志が平成22年に立ち上げたボランティア組織「フロイデDAN」では、専門性を生かして地域の活性化、まちづくりに貢献するさまざまな活動を行っている。その一つが、住民が気軽に利用できるコミュニティの拠点として立ち上げた、「コミュニティカフェBAHNHOF」。商店会との連携による買い物支援、サークル活動、ペーパーフラワー教室などさまざまな活動を通じて、地域の人のつながりを創り出している。
 そしてもう一つ、力を入れてきたのが少子化対策だ。24時間対応の院内保育所の開設や、短時間勤務制度の導入など、仕事と子育ての両立を可能にする職場環境づくりを推進。現在は同グループの育児休業取得率は100%となっており、医療機関で数少ない「くるみんマーク」(厚労省が認定する子育てサポート企業)にも認定されている。最近では、同グループで毎年20組以上が結婚しており、出生率も高い数字で推移。これが自治体全体の出生率を押し上げている状況だ。
 以上を説明した上で氏は、これからは病院も少子化対策や人口減少問題などにしっかりと向き合っていく必要があると強調。「中小病院は地域と運命共同体。単に高齢者対策だけでなく、狒汗ぢ紂α澗仂欸臣楼菠餝腑吋↓瓩亮存修房茲蠢箸鵑任いことが、明るい地域の創造につながる」と結んだ。

スムーズな在宅移行を支える
「アセスメント入所」

つしま医療福祉グループ代表の対馬徳昭氏は、社会福祉法人ノテ福祉会における、「特別養護老人ホームを核としたノテ地域包括ケア」の実践について報告した。
 ノテ福祉会は、北海道札幌市を本拠地に特養、老健、グループホーム、小規模多機能など幅広い事業を展開しており、特養を核にしながらこれらの事業をフレキシブルに展開する「ノテ地域包括ケアシステム」を構築している。
 どのようなシステムなのか。特徴の一つが、退院後に行われるアセスメント入所だ。在宅に戻る前に、まずは老健「げんきのでる里」に入所し、多職種でアセスメントを実施するもので、その人に合ったケアプランと介護サービス計画を作成の上、在宅に移行する。
 目的は、利用者のニーズに合った本当に必要なサービスを在宅でしっかりと提供すること。例えば、ノテ福祉会の特養では要介護度4の利用者に対し、1日平均8回のサービスを行っているが、居宅支援事業所で作成しているケアプランのうち訪問介護では、要介護5で1日1回60分のサービスで終わってしまっている。一方、定期巡回では訪問の効率性が重視されるが、残念ながら利用者がサービスを必要とするタイミングでサービスの提供がされていない。アセスメント入所の最大のメリットは、その利用者がどの時間にどんなサービスが必要かを具体的に把握できること。そして排泄が自立していなければ、その理由がどこにあるのかを分析。トイレに行ってしゃがむのが難しいのか、あるいは立ち上がることができないのか。立ち上がりが問題なら、入所中に立ち上がれる状態までリハビリをして在宅に戻す、といったきめ細かい対応を行っている。

特養のショートステイで
在宅継続をバックアップ

 一方、在宅に戻ってからはフレキシブルなサービス提供体制で、利用者の在宅生活を支えている。身体介護中心の高齢者には定期巡回、認知症の高齢者には小規模多機能で対応。小規模多機能で特に力を入れているのが訪問で、多い事業所では1か月に1600回にも達している。この仕組みをバックアップしているのが、特養の存在。家族が手に負えない状況に陥った際、特養のショートステイでケアを行い、安定したら在宅に戻すことによって、在宅継続を支援している。
 そして、こういった一連の取り組みを支えているのが、ノテ福祉会が独自に開発した情報共有システムだ。「中重度の高齢者を支えるには、その人が必要とする全ての社会資源がネットワークを構築し、情報を共有する必要がある」と対馬氏。関わるスタッフが利用者の情報をしっかりと把握することで、一日でも長く在宅で過ごせるよう支援している。
さらに氏は、5月20日に地域包括ケア推進研究会より発表された、「提言書」についても言及。その一番の目玉は、定期巡回、小規模多機能、看護小規模多機能の3つのサービスを1つにまとめた新サービス「新型多機能サービス」を提案していることにある。その意図について、「定期巡回はなかなか伸びないが、小規模多機能でたくさん訪問できれば、定期巡回は必ずしも必要なくなってくる。この新サービスは、実態をふまえてより展開しやすい仕組みとして考案されたもの」と説明した。これからの地域包括ケアの一つのカギになる、との見方を示した。

シェアリングシステムで
高齢者の生活を支える

社会福祉法人佛子園の雄谷良成氏が紹介したのは、石川県輪島市における“シェアリングシステム”を活用したまちづくり「輪島KABULET」だ。ネーミングの由来は、「いろいろな人が関わって、何かにかぶれていくようなまちをつくりたい」というもの。漆のまちとして栄え、バブル時代には180億円もあった売り上げが30億円を切り、産業人口の多くが周辺都市に流出。能登の中でも圧倒的な高齢化社会を迎えている。
その輪島市で進められているシェアリングシステムとは、大きく消費を進めていく時代から、分け合う時代への転換を図るもの。例えば、米の袋を持てない独居の高齢者がいたら、その時間帯に手が空いている人がそこへ駆けつけてサポートするなど、空いている時間や労力をシェアすることで、助け合う仕組みを構築している。あるいは、自動車や電動カートをシェアする仕組みも展開。高齢者はもちろん、移住者、観光客もシステムを使えるようにすることで、人の関わり合いを創出し、交流人口を増やしている。

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